玉造小劇店、お祝い

玉造小劇店「お祝い」を観劇。

これは今から22年前、

私がただのフリーターだった時に観て、

あまりの感動とカッコ良さに、

心から舞台が好きになった作品です。

再演、本当にありがとうございます!

22年前の感想は

「大阪弁でこんなスタイリッシュでスピード感のある芝居ができるんや!!」

でした。

自分も舞台人のはしくれとなり、

22年ぶりに観させていただいた素人感想を書きます!

あ、観終わった方向けかも。

キーワードは3つ!

・省略の神
・芝居と芝居人への愛
・唯一無二の存在感

①省略の神
開始5分で主人公に悲劇(妹の死)がおこります。

自分も忘れてたのですが、こんな早かったんかい!

という感じ。

隣のお客様と一緒に泣いてましたが、

ふと時計を見て、こんな早く事件起こして大丈夫!?
とドキドキに変わる。

このお芝居では、冒頭の悲劇と、

大阪大空襲

が大きな事件として舞台上で描かれますが、

なんと、

それ以外の主人公の大事件は、

描かれずに幕だけが変わって進んでいくのです。

・陽介が生理用品の商売を始めたこと
・亜紀との、恋愛期間
・陽介の出征
・戦争からの無事の帰還
・二人の間に子どもが産まれるのが分かる
・本社ビルが立ったこと

普通なら絶対描きたくなるポイントをあえて省略することで、すごいスピード感とテンポです。

②芝居と芝居人への愛
省略、の話の続きで、

幕が変わった時に、

主人公に重大事件があったことを

他の誰かがセリフの中で語り、お客はようやく理解するのですが、そのタイミングが絶妙!!

芝居を愛するわかぎゑふさんならではです!

たとえば、主人公陽介が戦争に行ってしまったことは、幕が変わってもしばらく語られません。

それが、疎開に行くお絹に、亜紀が小豆を渡すシーンで初めて
「ようすけさんが出征しはった時に」
というセリフで語られます。

観客は、しばらく幕が変わって観ている内に、

主人公の不在に気づき、何となく不安になっています。

全員が陽介の存在を意識したぐらいのタイミングで語られ、皆が安心します。

二人の間に子どもが産まれる、ということもそうで、

重要人物を舞台上から消しながらその不在を意識させ、

逆に存在感を高める。

というとんでもないワザだと思いました。

また、芝居人への愛、という意味では

すべての役(役者、というより役)に

見せ場がある。

どの役も必ず一つはビシッとキマる見せ場があって、

歌舞伎なら大向こうをかけたくなります。

主人公陽介は、熱くて純粋で、

しかも皆から好かれる男。

熱さだけでは周りに引かれそうになるのを、

天性の明るさと素直さで周りを笑顔にさせてしまう。

これとんでもなく難しいキャラ!

長橋さんすごい!

奥さんの亜紀、

前述の通り、幕が変われば重大事件が終わった後なので、

それに応じて成長していく姿を見せる。

はじめはただの田舎娘→純粋な新婚さん(しかし、女郎上がりという影もあり)→銃後の店を守るしっかり女将→お母さん

これもまあできないスゴ技!

松井さんあっぱれです!

そして陽介の親友、優平。

この人、二枚目でありながら常に陽介の周りで共に行動し、その時々の陽介の状態をセリフで語ってくれます。

いわば、軽い狂言廻しなのですが、

それを感じさせないのは脚本とうえださんの演技によるものだと思いました。

それにしても、二枚目で狂言廻しというのはあまりないような気がして、大阪弁ならではなのかなと思いました。(ひょっとしたら他にもあるかもしれません、すみません)ツッコミもできる二枚目(笑)。

あとのみなさんもすごかったです!ぜひ皆様生で!!

③唯一無二の存在感
22年前のコング桑田さんの印象
「暑苦しいおっちゃんやなあ!」

同じくわかぎゑふさんの印象
「カッコよくて色気があっておもろい!」

それが今回も全く同じでした(笑)

わかぎゑふさんが出てきた時は、

私にしたら藤山寛美先生が出てきたようなもんで、

「待ってました!」
と拍手をしかけましたが、

周りがそんな感じやなかったのでやめました(笑)すみません。。

しかしまあ存在感。

すべての動きが流れの中で統一されて美しい。

わかぎゑふさん役の理事長(?)が、土産の生理用品をもらって帰る時に、

棚に置いてある正規品と大きさを比べて、軽くうなずいた(笑)の、皆さん気づきはりました?

ほんまにちゃんとしたもんを土産で包んだんかい、

という大阪人ならではの行動で、

私はひとりで笑いをこらえるのに必死でした。(別にこらえなくても良いのですが)

22年前は私の記憶が確かなら遊女の役?

これが頭にこびりついています。

カッコよかったのよこれが!!

コングさんは会えるだけで幸せになる存在☆

素敵やなあ。。

わたしも皆さんのようになれるよう、

頑張ります!

字数がないのでこれまで!

ありがとうございました!!

#玉造小劇店 #玉小お祝い #お祝い #演劇 #わかぎゑふ

2023年12月01日 | Posted in 福丸ブログ | | No Comments » 

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