子どもだけ寄席、から見える風景

子どもだけ寄席、の風景さまざま

2022年の夏休み、無事に関西・東京両公演を終了することができました。ありがとうございます。そこから見えてきた子どもだけ寄席の風景をお話します。

<入場時の保護者の方々>

さまざまな家族模様が垣間見えるのが面白いです。保護者の方は千差万別。

・子どもが受付をしてお金を払うのを遠くから見守るだけの方。そういう方は入るのを見送ってぱっとどこかに去っていかれます。いえーい、自分の時間!という雰囲気(笑)。

・子どもたちが入るのを笑顔で送ってあげる方。子どもたちも笑顔です。

・子どもがひとりで入るのが心配、という方。「お茶飲むんだよ!」「トイレ行かないとだめだよ!」「何かあったら電話するんだよ!」。旅に出るのを見送る感じ(笑)。入る時に振り帰る子どもを見送る顔もちょっと心配そう。入った後も、さびしくなって出てくるんではないかと、少しその場にとどまっておられます。愛ですねー☆

・もっと心配な方も。座席まで見送って行って、ちゃんと座れてるか、トイレの場所を把握しているか。舞台がちゃんと見えるか、飲み物を飲んだか、確認して、何とも言えないお顔で出て行かれます。ずーっとおうちでは一緒にいらっしゃるんでしょうねー。お子様は幸せです。

 

<入場時の子どもたち>

もちろん、子どもたちはもっと千差万別。

・お財布を出して、そこから小銭をいっぱい集めて300円出してくれる子。がんばってお小遣い貯めたのかな?うれしいですね。

・自分の名前を言うのも恥ずかしい子。がんばって名前を言って名札をもらえたらうれしそう。がんばりました!

・入る前までお母さんにぎゅーっとくっついていたのに、受付をすますとあっという間に入っていって後ろも振り返らない子(笑)。お母さんにしたら、ちょっと振り返って手を振ってほしいのですが振り返りもしない我が子にちょっと寂しそうです。「〇〇くーん」と呼びますが、もう子どもたちは会場の中(笑)。

・一回入ったけど、「あ、お母さんとハイタッチするのを忘れた!」ともう1回出ていく子。ほほえましい~!

・「別れ」に緊張して無言の子。なかなか自分たちだけで知らない人に混じることは少ないよねー。

・「こんにちは!今日もがんばってください!」と励ましてくれる子(笑)。もちろん、がんばりますよ~。

<会場の中では・・・>

始めて入った本物の劇場。みんなそこら中に興味しんしん。

 

・とにかく通路やロビーを歩き回る子。わかるわかる。

・舞台に上がろうとする子。危ないからあかんで~(笑)

・ニンジャが通りかかるとみんなそっちを見ます。何かはじまるのかな?という顔を全員でしてくれます。

・劇場のクーラーボックスを開けようとする子。開けたくなるよな~。

・一人でパンフレットを真剣に見ている子。予習のくせがついている!素晴らしい!

 

<いよいよ開演!子どもたちは大盛り上がり!>

落語会が始まり、ラクゴニンジャが落語解説をはじめます。最初は固かった子どもたちも、5分もすれば完全に楽しむモード!!ちょっとどんな感じか覗いてみましょう。

 

・とにかく手がよくあがります(笑)。ちょっと質問したり、「〇〇行ったことある?」とか聞くと、ほぼ全員手を挙げてくれます。みんな積極的。

・たのしすぎて立ち上がってしまう子も(笑)。前のめりどころではありません。

・笑い方もさまざま。椅子に座りながら左右に転がる子。はねまわる子。下を向いてしゃがんでいく子(一瞬、体調が悪くなったかとドキッとします笑)。

・たとえではなく、「椅子から落ちて笑う」子も結構います。この会で分かったのは、人間は椅子から落ちるとき、バターンと落ちません。体の力が抜けたようにくにゃくにゃと崩れていって、下に落ちて笑いながら床を転がります。

・拍手の練習もします。1回教えると、その後はみんな素晴らしい拍手をしてくれます。

保護者の方がいないことで起こる子どもたちの反応が多々あります。

親子イベントでは見えない

<「子どもだけ寄席」独特の風景>

 

・兄弟ケンカ(ちょっとしたこぜりあい)を延々続ける子。ひどくなりそうなら止めようと思って舞台から見ていますが、ある一定以上ひどくなることはなく、延々と続けています。これもコミュニケーションですね。

・眠くなってしまい、「帰りたい~。」と教えてくれる子。毎回何人かあります。スタッフニンジャが保護者の方へお電話します。ちょっとタイミングが合わなかったねー。残念!

・知らない子がテンション上がって暴れているのをすっと注意する子。注意された子も、逆ギレすることなく静かになりました。

 双方に保護者がついていたら、気まずくなる場面ですよね。また、そもそも注意しないかもしれません。子ども同士だからこそ自然につくられたコミュニケーションです。すばらしいです。

・一度落語を披露した後、休憩時間に会場を歩くとたくさんの子どもが寄ってきます。話しかけてくる子もいますし、ただただついてくるだけの子も(笑)。いきなり手をつなごうとしてくれる子。なんだか大人気になった気分☆

<終演後の風景>

出口に近い席から一列ずつ退場してもらい、おみやげを一つずつ選んでもらいます。以前は抽選会をしたこともありました。子どもたちはいたって冷静で、結構いいおもちゃが当たっても「ぼくこれいらないので他の人にあげてください。」(笑)という子が何人かいたので、今年からは全員一つずつ選べるように変えました。

保護者の方に再び会えるとまたテンションが上がる子どもたち!!

 

・おみやげ選びは大騒ぎ。とにかくみんなしっかり時間をかけます。さっきまで大笑いしていた顔もとにかく真剣です。

・元気に「さようなら!」とあいさつしてくれる子。来た時と全く顔が変わって明るくなっています。

・出口を出てお母さんを見つけるともうたまりません。全力ダッシュ!!「さようなら!」と声をかけてももう聞こえてません(笑)。さっきまでのヒーローラクゴニンジャも、お母さんお父さんの前ではほったらかし(笑)。

 

<さいごに>

このように、さまざまなお子様がいらっしゃいますが、一つだけ共通していることがあります。

それは、入る時と帰る時の顔が全く違うということです。みんなぱっと花が咲いたよう。たくさんのきれいな花を見送る、こんな幸せなことはありません。

 

これからも、オトナが真剣に子どもと落語で遊んでいきます。全国の子ども達と遊べる日に向かって、これからも「子どもだけ寄席」を続けてまいりたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

落語彩々  桂 福丸

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